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東京高等裁判所 昭和62年(行コ)96号 判決

千葉県我孫子市緑一丁目一一番一四号

控訴人

葵開発工事株式会社

右代表者代表取締役

上原悦和

右訴訟代理人弁護士

朝倉敬二

千葉県柏市あけぼの二丁目一番三〇号

被控訴人

柏税務署長

宮本佐

右指定代理人

田口紀子

川島和雅

早川宮二郎

石黒邦夫

右当事者間の法人税更正処分等取消請求控訴事件につき、当裁判所は、次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実

一  控訴代理人は「1 原判決を取り消す。2 控訴人の昭和五三年四月一日から昭和五四年三月三一日までの事業年度及び同年四月一日から昭和五五年三月三一日までの事業年度について松戸税務署長のした(一)昭和五七年二月二七付でした法人税を更正し重加算税を賦課した処分、(二)同日付でした昭和五三年一二月分の源泉徴収にかかる所得税の納付告知及び不納付加算税を賦課した処分を取り消す。3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

二  当事者間の主張及び証拠関係については、左に付加、訂正、削除するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決三枚目一一行目「請求原因」の次に「1ないし5の」を加える。

2  同六枚目裏一行目「しかし、」の次に「大洋基礎と太平洋興発との間の前記本件土地売買仲介の発端は、大洋基礎の不動産部次長拓植宗光(以下「拓植」という。)が控訴人の代表者であつた井出口正(以下「井出口」という。)に本件土地売買の話を持ち込み、井出口から直接太平洋興発の開発部長米山義二(以下「米山」という。)に伝えられたことによるものであり、控訴人が名実共に本件土地売買の仲介者である。」を加える。

3  同一〇枚目表五、六行目「訴外井出口正(以下「井出口」という。)」を「井出口」と改め、八行目「一一八二万円」の次に「(後記(1)のうちの五八二万円、同(2)のうちの二〇〇万円、同(3)の一〇〇万円、同(4)の三〇〇万円の合計)」を加える。

4  同一〇枚目裏二行目「経理処理をしている。」の次に「また、控訴人は、同日付で、自然村に対する支払手数料として三六八万円を計上しているが、右金員は井出口が代表役員をしていた訴外宗教法人不老山能忍寺(以下「能忍寺」という。)に対する控訴人の未収金債権(千葉県東葛飾郡沼南町岩井字鳥内六一三番の土地の売買代金)と相殺したものとして処理されている。」を、七行目「二〇〇万円を」の次に「、同月二七日同様に三〇〇万円を」を加え、九行目「金員を」を「二〇〇万円については」と改め、一〇行目「している」の次に「が、右三〇〇万円については何らの経理処理をしていない」を加え、同行「右金員」を「右各金員」と改め、同行「同日、」を削除し、末行「認められる。」の次に「更に、控訴人は、昭和五四年一月三一日自然村に対する外注費支払として三八八万円を振込送金している。」を加える。

5  同一一枚目表四、五行目「訴外宗教法人不老人能忍寺(以下「能忍寺」という。)」を「能忍寺」と改める。

6  同一二枚目裏六、七行目「訴外拓植宗光(以下「拓植」という。」を「拓植」と改め、九行目「一切していない。」の次に、行をかえて次のとおり加える。

「自然村は、赤字続きのため控訴人から切り離され独立した会社であるが、独立後も控訴人から頻繁に資金援助を受けていた収益力の乏しい会社であつて、目的外の行為ではあつても、手数料収入を得るため不動産仲介を経営上企図していたのである。本件売買については、正堺が本件売買契約の発端を作ることにより仲介機能をすでに果たしており、加えて、成約後の売買代金の支払、登記手続履践等の取引の最終段階においても関与している。また、拓植は、大洋基礎を退社して自然村に入社する以前から、実質的には自然村の業務に従事していたのである。」

7  同一三枚目裏六行目「振込送金し」の次に「、三六八万円を相殺処理し」を加える。

8  同一四枚目表一行目「二〇〇万円を」を「二〇〇万円、三〇〇万円、三八八万円をそれぞれ」と、二行目「これ」を「右二〇〇万円」と、三行目「それ」を「右外注費なるもの」と各改める。

理由

一  当審も、控訴人の本訴請求は、いずれもこれを失当として棄却すべきものと判断するが、その理由については、左に付加、訂正、削除するほか、原判決がその理由において説示するところと同一であるから、これを引用する。

1  原判決一五枚目表二行目「請求原因」の次に「1ないし5の」を加える。

2  同一六枚目裏三行目「各証言並びに」を「各証言、」と改め、四行目「という。)」の次に「並びに弁論の全趣旨」を加える。

3  同一七枚目裏一一行目「4月」の次に「一三日」を加え、一八枚目表一行目「同月一三日」を「同年七月二二日」と改める。

4  同一九枚目表四行目「当裁判所に顕著」を「本件記録上明らか」と改める。

5  同二一枚目表末行「証人大貫は、」から二二枚目表八行目「困難である。」までを、次のとおり改める。

「前掲乙第一九号証根第二〇号証の一ないし五、第二四号証、第二五、第二六、第三一号証の各一によれば、前記(二)(1)経緯で本件土地の買主を捜すこととなつた大洋基礎は同社の不動産部次長であつた拓植に本件土地の販売を一任したところ、同人は同社と従前から工事関係で取引のあつた控訴人の当時の代表者井出口に本件土地の買入れを要請したところ、井出口は昭和五三年六月ころ控訴人と取引のあつた太平洋興発の取締役開発部長米山に対して本件土地を買い受けるよう申し入れたことが認められ、証人大貫、正堺、拓植の各証言中、大洋基礎の大貫係長と太平洋興発の正堺とが直接話し合つたのが本件土地売買の発端である旨の証言部分は、前掲各証拠に対比して措信し難く、他に右認定を動かすに足りる証拠はない。」

6  同二二枚目表九行目「ところで、」の前に「(2)」を加え、裏二行目「のであるから、」から四行目「証人正堺は」までを「ことに照らし」と、六行目「と証言しているが、」から七行目「いなかつた。」までを「との証人正堺の証言は措信し難い。」と、同二三枚目表八行目「拓植の就職先」から九行目「ところがある。」までを「拓植は自然村に入社した後も自然村の仕事に専従したものではないことが認められる。」と改める。

7  同二三枚目裏四、五行目「証言しており、」から七行目「証人米山は、」までを「証言し、また、」と改める。

8  同二六枚目表三行目「証人正堺、」の次に「同拓植、」を、六行目「見てきた事情」の次に「並びに後記(四)の事実」を各加える。

9  同二六枚目裏三行目「一八四坪」を削除し、六行目「また、」の次に「同月二二日には」を加える。

10  同二七枚目表九行目「各証言」の次に「並びに弁論の全趣旨」を加え裏三行目「譲り受けたが、」から八行目「一八四の」までを「譲り受け、その後これを能忍寺に譲り渡し、能忍寺に対し右土地の」と改め、末行「経理処理をした」の次に「(右相殺の経理処理の点は当事者間に争いがない。)」を加える。

11  同二八枚目表四行目「五〇〇万円」の次に「(前記(1)の昭和五三年一二月二二日の二〇〇万円及び同月二七日の三〇〇万円)」を加える。

二  以上の次第で、控訴人の本訴請求は、いずれもこれを失当として棄却すべきであり、これと同旨の原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 中村修三 裁判官 篠田省二 裁判官 関野杜滋子)

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